米ナップスターの
マイケル・べべル社長兼COO

 米国で10月29日に始まった「Napster2.0」の説明のため、米ナップスターのマイケル・べべル社長兼COO(最高執行責任者)が来日した。Napster2.0は、CD/DVD書き込みソフト「Toast」の販売などで知られる米ロキシオが、旧ナップスターと米プレスプレイ(Pressplay)の資産を買収して開始した音楽配信サービス。ベベル氏は、記者の質問に日本でのサービス展開について真剣に検討していることを明らかにした。

――日本での展開の予定は。
 今後1年以内にサービスを開始する予定だ。日本は世界で2番目に大きい音楽市場であり、次の展開を考える中で最重要の課題として取り組んでいく。現在は米国のレコード会社との契約の関係で、ユーザーのIPアドレスとクレジットカードの登録住所情報を使い、北米以外からのアクセスを制限している。今後は日本で独自のコンテンツを加え、本格サービスを立ち上げたい。

――国内レコード会社との交渉状況は。
 現在、交渉のまっ最中だ。人々が「Napster」のブランドに求めているのは「探している曲が見つかる」という体験。邦楽が十分に揃わない状況で、中途半端にサービスを立ち上げる気はない。米国では5大レコード会社と一部のインディーズ・レーぺルから楽曲の提供を受けている。現在では「Napster」の名前に対する拒否反応は少なくなった。我々のサービスは日本でもレコード会社に受け入れてもらえると思う。

 「Napster2.0」の強みは、米国のインターネット利用者の97%が知っているブランド、50万曲を誇るコンテンツ、そして月額9ドル95セントの定額制と1曲につき99セントの課金を組みあわせたハイブリッド型の料金モデルだ。PtoP方式だったオリジナルのNapsterと異なり、サーバーから直接ユーザーに配信することでダウンロードの安定性も確保した。マイクロソフトのWidows Mediaが持つ著作権保護技術を使っており、以前のようにコピーが氾濫する恐れもない。

――米アップルの「iTunes Music Store」についてはどう思うか?

 彼らは我々よりも多く売っていると言うが、我々の見方は違う。米国のパソコン雑誌が主催したアンケート調査で、ユーザーはiTunes Music StoreよりもNapster2.0を選んだ。アップルのリリースでなく、客観的なデータで評価して欲しいね。

聞き手は本間 純=日経コンピュータ