日立製作所日立電線は11月19日、無線LAN(IEEE802.11b)を利用した位置検知システム「日立AirLocation」を同月20日に発売すると発表した(写真)。GPS(全地球測位システム)は、屋外でしか利用できず、誤差は10m程度。日立が発売するシステムは、屋内でも利用でき、誤差が1~3mと小さいのが特徴である。

 このシステムは、位置検知サーバー、管理サーバー、最低5台の専用基地局、無線LAN端末と専用ソフトウエアで構成される。日立製作所が専用ソフトウエア、日立電線が専用基地局の開発を担当した。価格は個別見積もりになるが、最小システムで500万円程度。位置を検出する無線LAN端末は802.11bが利用できる通常のパソコンやPDA(携帯情報端末)でよく、端末側に特別なハードやソフトは必要ない。無線LANタグも利用できる。

 位置の検知には、無線LAN端末と複数の基地局の間の電波到達時間の微少な差を利用する。基地局が5個の場合、1個をマスター、残り4個をスレーブとし、4個のスレーブ基地局を部屋の隅などに設置する。マスター基地局/スレーブ基地局の位置をソフトウエアに入力しておく。位置測定の際には、まずマスター基地局が同期信号を出す。すると、これを受け取った無線LAN端末が応答を返す。この応答を各スレーブ基地局が受け取るまでの時間を測定し、その微少なずれを基に三辺測量を行って無線LAN端末の位置を割り出す。複数端末の位置を調べる場合、端末はIPアドレスで識別する。

 日立は当面の用途として、倉庫でのフォークリフトの位置探索、展示場や遊園地での情報配信などを想定している。すでに採用の検討を始めているユーザーがあり、来年初めには最初のシステムが稼働する見通し。引き合いも数十件あるという。販売目標は、2005年度に年間50億円程度。

(大森 敏行=日経コンピュータ)