日本IBMは11月18日、サーバーをはじめとするコンピュータ資源を必要に応じて増減できる技術基盤「ユニバーサル・マネジメント・インフラストラクチャー(UMI)」を発表した。まず来年末をメドに、同社が運用アウトソーシングを手掛けているシステムでの導入を目指す。日本IBMでサービス事業を率いる下野雅承常務は、「UMIは、サーバー資源を使った分だけ料金を払う従量課金の仕組みを実現する基盤になる」と強調する。

 UMIは複数台のサーバーをつなぎ合わせて一括管理するためのシステム基盤。急激なアクセスの増加や月末処理といった一時的な処理要求の増加に合わせてサーバー資源を調整できるので、「顧客企業は処理のピークに合わせた規模のシステムを用意しなくて済む。サーバーの管理コストも減らせる」(下野常務)。

 UMIの開発は米IBMのサービス部門が中心となり、ソフトウエアやハードウエアの部門、研究所と協力して開発を進めている。「米国では昨年から、コロラド州のデータ・センターでサービスの提供を始めている」(日本IBMアウトソーシング事業部の小林正一部長)。技術的には、運用監視ツール「Tivoli」に含まれる「Tivoli Intelligent ThinkDynamic Orchestrator」のシステム最適化機能を中核に、米IBMが開発したプロセス管理技術などを組み合わせて実現する。

 UMIが備える機能としては、大量のサーバーの動作状況を一括管理する「統合システム管理」、サーバーの論理構成を自動で決めたり追加導入を自動で行う「オート・プロビジョニング」、システム環境に関する情報をWebブラウザで閲覧できる「ポータル」、プロセサやメモリーなどのコンピュータ資源の使用量を測定する「計測」などがある。

 IBMはUMIで動作させるシステムの具体例やUMIのシステム構成について、「今後最終的に詰めていく」(小林部長)として詳細を公表していない。当初は、アクセス負荷の増減が激しいWebシステムにUMIを適用するケースが中心になると考えられる。UNIXサーバーのeServer pSeries、もしくはIAサーバーのeServer xSeriesなどを複数台使ってUMIを構築し、UMI上でLinuxやWebSphereを使ったWebアプリケーション動かす、といった事例だ。

 将来的には、他社製サーバーを含めた異機種サーバーの接続、SLA(サービス・レベル・アグリーメント)に基づき自動的にコンピュータ資源の提供を行う「ポリシー・ベースド・マネジメント機能」などを含む仮想コンピューティングをUMIで実現していく。「グリッドやオートノミックといった技術を組み合わせて、オンデマンド・オペレーティング環境を現実のものにしていく」と下野常務は話す。

大和田 尚孝=日経コンピュータ