オブジェクト指向のモデリング言語「UML(統一モデリング言語)」の活用を目指した特定非営利活動法人(NPO法人)であるUMLモデリング推進協議会(UMTP/Japan)は11月18日、韓国のソフトウェアコンポーネント推進協議会(KCSC)および中国の武漢大学軟件工程国家重点実験所UML Education & Certification Center(UML ECC)と共同で、UMLを使ったモデリングの普及活動を進めていくと発表した。

 KCSCは、ソフトウエア・コンポーネントの開発や再利用を目指すために、韓国情報通信省の傘下に1999年に設立された協議会。武漢大学のUML ECCは、中国国内のUMLの教育や技能認定を専門に実施する組織で、今年4月に設立された。2団体ともUMLを使ったモデリングの普及活動を進めていることから、日本で普及活動を進めているUMTP/Japanと共同でモデリング技術の普及を進めることになった。

 UMTP/Japanの会長を務めるオージス総研の上野南海雄専務は、「業務をモデリングする技術者の育成は日本固有の問題だけでない。アジア各国と共同でモデリングの技能体系や試験の共有を図ることで、モデリング技術の普及を図っていきたい」と意気込みを語る。

 今回提携した三つの団体は、(1)モデリング技術者のスキル・レベルの定義、(2)各国における技術者向け技能認定基準の設定、といった取り組みを共同で進めていく。(1)については年内をメドにUMTP/Japanが定義の概要を固めて、各国に提案する。来年前半にも内容について合意する予定。(2)については、定期的にミーティングを開いて来年後半にも固めていく。

 「アジア各国間で、企業間電子商取引やサプライチェーン・マネジメントを進めるケースも増えている。3団体が主体となり、モデリング普及のための取り組みを共同で進めていくことで、業務モデルのベスト・プラクティスの共有が進み、モデリング技術者の育成に大きなメリットをもたらすはずだ」と、UMTP/Japan副会長を務める東京国際大学の堀内一教授は説明する。

 KCSCでソフトウェアモデリングフォーラムの会長を務めるベイ・ドゥクワン高麗大学コンピュータサイエンススクール学長は、「電子商取引や電子政府の取り組みが加速していることで、システム分析できる技術者の養成が急務になっている」と、韓国のモデリング事情を説明する。武漢大学 軟件工程国家重点実験所の何克清 教授は、「オブジェクト指向やソフトウエアの部品化を進めるうえでも、モデリングのスキルは非常に重要だと認識している。3者が連携することで、モデリング技法の普及を進めていきたい」と語る。

西村 崇=日経コンピュータ