東日本旅客鉄道(JR東日本)は11月13日、電子マネーの実用化に先立って報道陣にデモンストレーションを公開した。11月16日から開始する試験サービスでは、東京、品川、新宿、上野の駅構内にある88店舗で、クレジットカード搭載Suica「ビュー・スイカ」を使った電子マネーを利用できる(関連記事)。現時点の会員は8万人で、試験サービスとはいえ事前登録なしで利用可能である。クレジットカードの会員以外でも利用できる本格サービスは、来年春に開始する予定である。
 
 今回、デモの会場となったのは新宿駅の新南口改札前の喫茶店「グッドタイムス」。来店客が電子マネーでの支払いを申し出ると、店員が決済端末に商品の金額を打ち込んだ。次に客がカードをリーダー/ライターにかざすと、決済が完了し、残額が読み取り機の画面に表示された。決済金額の上限はチャージ金額の上限と同じ2万円。残額不足の場合は、不足分を現金で支払うことができる。

 使い方は「am/pm」などで利用できる「Edy」に似ているが、微妙に異なる部分もある。まず、店員が金額を決済端末のテンキーに打ち込む点。来春以降には、POSレジと連動可能な端末を導入し、決済金額の入力を自動化するという。もう一つの違いは、財布に入れたままでも決済が可能な点だ。これは、昨年末に国が技術基準を改正し、リーダー/ライターが発する電界強度への規制を緩和したため。Edyの場合は、改正前に出荷されたリーダー/ライターを使っている店舗も多い。このため、Edyの運営元のビットワレットは、利用者にカードを財布から出して使うよう推奨している。

 JR東日本は、今後、首都圏近郊の駅構内の店舗、駅ビルなどで電子マネー対応店舗を増やしていく方針。駅の外への展開も視野に入れているという。

(本間 純=日経コンピュータ)