「固定料金で2500円~3000円が妥当」
と語るJALの千代勝美取締役

 日本航空(JAL)は、来年12月から旅客機内でのインターネット接続サービスを開始する。11月12日、米ボーイングの事業部門であり「Connexion by Boeing」のサービス名で航空機向けの衛星回線などを提供しているコネクション・バイ・ボーイングと、68機について最終契約を交わした。当初は成田―ロンドン路線でサービスを開始し、その後パリ、ブリュッセル、ニューヨークなどへの国際線に順次導入する。

 地上局との接続には静止衛星回線を使い、機内には無線LANのアクセスポイントを設置する。搭乗客はIEEE802.11a/b/gの無線LAN通信に対応したノート・パソコンや携帯情報端末(PDA)を持ち込んで使用する。機内での接続速度は128kビット/秒前後で、全クラスの座席で利用可能。無線LAN機能を備えないノート・パソコン向けに、各座席にイーサネットの端子を設けることも検討している。

 JALで国際旅客事業を担当する千代勝美取締役は「海外線の旅客の7割はノート・パソコンやPDAを持ち込んでいる。私自身は機内だけでもくつろぎたいと思う方だが、国際線での激しい顧客獲得競争を考えるとネット接続サービスの充実は不可欠だ」と語る。提供価格については、英ブリティッシュ・エアウェイズが大西洋線で実施した実証実験でのアンケート結果から「距離にもよるが、固定料金で2500円~3000円が妥当だろう」とした。

 なお、全日本空輸(ANA)も、今年9月にConnexion by Boeingの導入でボーイング・グループと基本合意しており、今年12月にも詳細を発表する見込みである。海外では、来年初頭からルフトハンザ航空とスカンジナビア航空が、来年中盤からはシンガポール航空がConnexion by Boeingによるインターネット接続サービスを開始する。エアバス機でも同サービスが利用可能になる見込み。来年以降、機内でのインターネット接続は国際線の“標準装備”になりそうだ。

本間 純=日経コンピュータ