インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)最大手のニフティは、米国で流行している新種の個人情報発信サイト「ブログ」を簡単に作成できるブログ・サービスを12月から開始する。ブログ米大手のシックス・アパートと提携し、同社の技術を活用する。すでに両社は基本合意に至っており、契約の最終段階にあるという。国内の大手ISPでブログ・サービスを開始するのは、ニフティが初めて。

 日経コンピュータの取材によると、ニフティは12月2日からサービスを開始する方向で準備を進めている模様。ブログ・ツール「MovableType」や、ホスティング・サービス「TypePad」を提供する米シックス・アパートと提携し、同社の技術やノウハウを活用する。ニフティは、MovableTypeやTypePadのソースコードをニフティのサービス形態に合わせて改変すると見られる。

 当初は、現在500万人以上いる会員向けに無償でサービスを提供する考え。ISPの会員以外でも、ポータル・サイトの会員(無料)になればニフティのブログ・サービスを利用できるようにする。将来的には、「高機能なサービスを有償で提供する計画」(関係者)だという。

 MovableTypeは高機能な点やデザイン性がユーザーの支持を集めており、ジョージ・ブッシュ米大統領や、米大統領選挙の有力候補者である民主党のハワード・ディーン氏といった大物政治家も、自身のWebサイトでブログ・ツールとして利用している。

 ブログはWebLog(ウェブログ)の略語で、個人が日々の出来事や社会的な事象に関する記録や記事を時系列で書き連ねるWebサイトのこと。サイト同士でコミュニケーションするための様々な機能を備えているのが特徴。誰でも簡単にブログを作成・維持管理できるサービスの登場で、米国を中心にブログ・ユーザーが急増している。国内でも数社のベンチャー企業がブログ・サービスを開始しており、この11月にはNTTデータとライブドアを運営するエッジが試行的にブログ・サービスを開始した。

 BIGLOBEを運営するNECや検索サイトgooを運営するNTT-X(注:12月にエヌ・ティ・ティ レゾナントに社名変更)など、ほかの大手ISPやポータル・サイト各社もニフティに追随する構え。数百万人の会員やユーザーを抱える大手各社がブログ・サービスを開始することで、日本でも一気にブログ・ユーザーが増えそうだ。

 この件に関してニフティは「米シックス・アパートと話を進めているのは確かだが、詳細は言えない」(広報)としている。また、米シックス・アパートのミナ・トロットCEO(最高経営責任者)は日経コンピュータの取材に「業務提携や子会社設立など、日本市場に参入する方法として様々な検討をしているが、現時点では公表する段階にはない」と答えている。

(井上 理=日経コンピュータ)

■日経コンピュータ11月17日号で、ニフティをはじめとする大手各社の動向や、ブログと電子商取引サイトとの連携、ブログの業務利用などをまとめた記事を掲載しております。是非、ご覧下さい。