「ログイン画面が起動しないので、インターネット・バンキングが利用できない」--。新生銀行に対して、「ネットバンキングの利用者から、問い合わせが相次いでいる」(新生銀行)。原因は、新生銀行のシステムそのものではなく、検索サービス大手である米グーグルの日本法人が9月25日に提供を開始した、ブラウザ組み込み型の検索補助ツールの新版「Google ツールバー 2.0 日本語版」だ。

 同ツールバーでは、新たに「ポップアップ ブロッカー機能」を実装した。これは、Webサイトを閲覧する際、Webページに埋め込まれたスクリプトによって、自動的に新たなWebブラウザを立ち上げること(ポップアップ)を防止する機能だ。この機能は、Googleツールバー2.0をInternet Explorer 5.5以降で利用する場合に、デフォルト設定で有効だ。ポップアップは、ネット上の広告手段としてよく利用されている。

 新生銀行のネット・バンキング・サービス「新生パワーダイレクト」は、ログイン画面をポップアップ・ウィンドウとして、起動する仕組みになっている。そのため、ポップアップ ブロッカー機能をオンにしておくと、このログイン画面を立ち上げられない。

 Googleツールバー2.0には、ドメイン単位で、ポップアップ ブロッカー機能を無効にする機能がある。だが新生銀行のネットバンキングにログインするドメイン(www.shinseibank.com)に対して機能を無効にしても、ログイン画面は先ほど同様、立ち上がらない。

 これはログイン画面が、www.shinseibank.comではなく、direct.shinseibank.comという別ドメインの配下にあることが原因だ。ログイン・ボタンを押すと、direct.shinseibank.comを経由して、ログイン画面がポップアップする仕組みになっている。direct.shinseibank.comには、ポップアップを許可していないので、ログイン画面を立ち上げられないのだ。

 新生銀行は、この件で問い合わせをした顧客に対して「ポップアップ ブロッカー機能を完全に外すことをお願いしている」(広報)。だが、これでは、他のサイトを巡回しているときにポップアップ ブロッカーを利用できなくなってしまう。ネットバンキングを利用するたびに、設定を変更するというのも手間だ。

 この悩みは容易に解決できる。Googleツールバーをdirect.shinseibank.comのドメインに対してポップアップを許可するよう設定しておけばよい。もしくは、ネットバンキングを利用する時だけ「Ctrl」キーを押しっぱなしにして、ログインする手もある。Ctrlキーを押している間は、Googleツールバーのポップアップ ブロッカー機能が無効になるからだ。

(広岡 延隆=日経コンピュータ)