「Linuxは、電子自治体システムのサーバーを構築する際に必要な機能を満たしている」。企業情報システム向けオープンソース・ソフトウエアの開発を支援する非営利団体(NPO)、米OSDLのアジア拠点であるOSDLジャパンが、12の自治体と7社のITベンダーへの調査を基に出した結論だ。調査報告書の詳細は明日(10月31日)、OSDLジャパンのWebサイトで公開する。

 報告書の名称は、「自治体システムへのオープンソース適用性に関する調査報告書」。調査は、Linuxをはじめとするオープンソース・ソフトウエアの電子自治体における利用状況、利点や課題を明らかにし、今後の技術指針を策定することを目的に行った。今年6月にITベンダーへ、8月に政府・自治体のIT担当者へのヒアリングを行い、結果をまとめた。

 調査では、電子申請や公共施設予約などでLinuxの利用度が高いが、電子入札、電子申告などでは低いという結果が出た。ただ、個々のシステムについて必要な技術要素を抽出したところ、Linuxの適用が進んでいない分野で特別な技術要素が存在しなかった。また、抽出された技術要素は現行のLinux Kernel 2.4が提供する機能で十分満たせるとして、冒頭の結論を導いている。

 OSDL(オープンソース・デベロップメント・ラボ)ジャパンは今後、「今回の調査で明らかになったオープンソース・ソフトの課題解決のためのプロジェクトを立ち上げるととともに、継続して調査レポートを出していく」(高澤真治ラボディレクタ)。

小原 忍=日経コンピュータ