日本IBMが新聞紙面(A2判)を実寸サイズで表示できる超大型液晶ディスプレイを開発した。10月30日に発表した。28.3インチ型(縦56cm×横45cm)の画面に、2560×2048ドットを表示できる。つまり画素数524万2480と、通常の液晶ディスプレイの約4倍の解像度を持つ。「実際の紙面と同じ大きさで新聞の文字を表示しても問題なく判読できる」(PC・ソリューション開発の矢崎 天プロジェクト・マネージャー)。従来の液晶ディスプレイでは、実寸サイズでは紙面の一部しか表示できなかった。

 日本IBMはまず新聞社向けの組み版システムでの利用を狙う。「紙面を実寸表示できるメリットを生かし、校正刷りの出力回数を減らしたり、本社と印刷工場が協調作業するといった新しいソリューションの提供を検討する」(通信・メディア・公益システム事業部メディア事業部の船橋 敬次長)。こうした用途に備えて、このディスプレイはタッチパネル機能を備える。画面をペンや指でなぞると、校正やレイアウトの指示が入れられる。「パネル面はボールペンでたたいても割れないだけの強度を持たせた」(同)。

 新ディスプレイの特徴を生かした組み版システムができあがった段階で、ディスプレイの製品化に踏み切る。ディスプレイ単体の価格は未定だが、100万円は優に超える価格帯になる見通し。

星野 友彦=日経コンピュータ