NECは、企業向け機能を強化した無線LAN基地局「WL1200シリーズ」と基地局の管理機器「WL2000シリーズ」の新製品を11月28日に出荷する。セキュリティを確保する機能、IP電話向けの機能、運用管理の手間を削減する機能、の三つを新たに搭載した。

 なかでも珍しいのはセキュリティ関連機能である。最近では、無線LAN関連製品が安くなったこともあり、自分たちの利便性を優先して、システム部門に無断で部門に無線LANを導入する例が増えている。ところが無線LANのセキュリティの設定が甘いケースも少なくないので、無断で設置した無線LAN基地局が深刻なセキュリティ・ホールになる可能性がある。基地局の電波は窓の外にまで漏れていることがあり、場合によっては第三者が無線LAN経由で社内LANに不正に侵入できてしまう。

 NECの新製品は、こうした問題を回避できるようにした。NECの基地局は、常に回りの電波状況を監視しており、勝手に基地局を設置すると、その電波を検知する。監視用パソコンにには、その場所をフロアのレイアウト図とともに表示する。さらに勝手に増設した基地局とパソコンとの通信を切断する信号を周囲の基地局が発信する。「不正な基地局を発見してから、撤去するまでセキュリティを確保できる」(NECの田口喜久雄ビジネスネットワーク事業部マネージャー)。

 IP電話向けの機能は、NECが来春にも出荷する無線LANを使った携帯型IP電話機の利用を想定したもの。ユーザーの移動に伴って接続先の基地局を連続的に切り替えるハンドオーバー機能、音声データを優先制御する機能を備える。これらの製品を利用すると構内PHSと似た使い方ができる。運用管理の手間を削減する機能としては、基地局の負荷が高まったときに接続先を自動変更して負荷を分散する機能と、ある基地局が故障したときに周辺の基地局の出力を自動的に上げて、通信が途切れるのをカバーする機能を搭載した。

 これらの機能を利用するにはNECの無線LAN基地局と管理機器を組み合わせて利用する必要がある。パソコン側の無線LANカードは汎用のものでよく、通信方式はIEEE802.11a/b/gが利用できる。価格は基地局と管理機器を合わせて240クライアントの場合307万円から。

(坂口 裕一=日経コンピュータ)