新製品発表会で、開発中のカード型携帯電話を披露するNEC中村常務(中央)=中国・上海の上海大劇院で
新製品発表会で、開発中のカード型携帯電話を披露するNEC中村常務(中央)=中国・上海の上海大劇院で

 NECは2003年10月28日、クレジット・カード大で厚さ10mmという小型の携帯電話「N900」を近く発売すると発表した。

 同社が中国・上海市内で開催した中国市場向け新製品発表会の席上、中村勉・取締役常務が明らかにし、開発中の製品を壇上で披露した。同製品はGSM方式準拠で、当初中国で発売し、今後東南アジアや欧州などで順次展開する。

 製品の発売時期は「まもなく」(中村常務)とだけ述べ、製品の詳細についても現時点では明らかにしていない。ただし、開発を担当する日電中国有限公司(NEC中国)の山崎耕司・中国移動終端開発中心総経理によると、「中国市場では、消費者がデザインだけで携帯電話を買ってくれる時代は終わった。N900のきょう体は小型だが、カメラやカラー液晶など一般の製品に見劣りしない機能を備えた」としている。

 製品の企画立案は山崎総経理ら中国国内の開発チームが担当し、開発作業は日本国内で実施した。「デバイスは既存製品のものを流用できたので、限られたスペースにどうやって実装するかを中心に検討を進めてきた。過去に薄型ページャ(ポケットベル)を開発した経験も生かし、一般の携帯電話とほぼ同程度の8~10カ月で開発した」(山崎総経理)。

「中国市場で20機種、250万~300万台売る」

 N900の発表に併せ山崎総経理は、2004年度(2005年3月期)の中国市場向け携帯電話開発について、「20機種の携帯電話を開発・出荷し、250万台~300万台を中国国内で販売する」との目標を示した。

 「NECが中国市場を攻略するには、日本国内の携帯電話がある程度順調に推移している今が最初で最後のチャンス。事業をやるリスクとやらないリスクを天秤にかけた時、やるリスクというのは開発費をはじめ、想定できるものがほとんど。しかし事業をやらない場合、他社がどう攻めてくるかは想定できないリスクになり、大きな損失となる可能性もある。ならば積極的にリスクを取って、事業を進めていきたい」(山崎総経理)と、中国市場の攻略に賭ける意気込みを示した。

(金子 寛人=北京支局特派員)