「SAPの統合業務パッケージ(ERPパッケージ)の運用技術者のコストは、複数の企業で技術者をシェアすれば3~4割下げられる」というのはキャップジェミニ・アーンスト&ヤング(CGE&Y)の岡田昭彦マネジャーだ。「ERPパッケージで、業務に従事する人と話すところからコーディングまでひと通りできる技術者となると、200万円/月は下らない。会計、生産、物流、販売、人事といった具合に5分野で5人揃えれば、それだけで1000万円/月になる。技術者を待機させていても、毎月トラブルが起きるわけではない。ユーザー企業によって技術者を遊ばせている度合いは異なるが、当社のAMSC(アプリケーション・マネジメント・サービス・センター)に運用を任せれば、3~4割は安く済むはずだ」と自社のサービスをアピールする。

 「ERPパッケージの導入をまかせたベンダーに運用をまかせる例が日本では多いが、それは効率的とは言えない」とも論評する。「同じ会社に依頼しても担当する人間は変わる。それなら別の会社に運用を委託しても同じ。かえって、引き継ぎ作業をオープンにした方がリスクをコントロールしやすい」というのだ。同社が2001年に東京に開設したAMSCでは、現在8社のERPパッケージの運用を受託している。そのうち2社はCGE&Yが導入を請け負ったが、あとの6社は運用段階から仕事を受けた。「当社の東京の人員は約200名で、ERPの大規模導入を多く手がけられる状況ではない。どうしても、運用からの参加が多くなる」。

 ただ、「リプレースの場合はユーザー企業が名前を出したがらず、積極的にアピールできない」というのが悩みのタネ。「来春大きいのが二つ入ってきて、これでAMSCのリソースをやっとフルに使う状況になる」。CGE&Y全体で見た場合、アジア地域の売上が占める割合はわずか2%。「日本でのビジネスは、規模の面ではまだまだこれから」というのが、いつわらざる実感のようだ。

(原田 英生=日経コンピュータ)