平野社長は「レッドハットが今回の製品に見せる自信を、バージョン番号が象徴している」と説明する。今回のバージョン番号は「3」だが、前回は2.1。初めての大規模向け製品だったにもかかわらず、1でも2でもない、きりの悪い数字をわざと使った。
きりの悪いバージョン番号には、「まだ続きがある。次はよりしっかりしたものを出す」という意味を込めていた。「1」を飛ばしたのは、Windowsが3.0/3.1あたりで世間に認められたのを意識して、「次の“3”で満足いくものを作る」という意味もあったという。「今回は自信を持ってきりのいい数字にできた」(平野社長)。
今回の製品では、開発段階からハードウエア・メーカーやミドルウエア・ベンダーの意見を取り入れた。NEC、日立製作所、富士通、米IBM、米オラクル、米サン・マイクロシステムズ、米デルなどが開発に参加した。
各社との共同開発により、同一のソースコードから複数種のプロセサ上で動作するバイナリ・コードを作ることが可能になった。「これにより、保守性が高まった。サポートの質も向上する」(平野社長)。動作プロセサは、米インテルの32ビット・プロセサ(通称x86)、64ビット・プロセサItanium、米AMD製のAMD64、米IBM製プロセサ4種類(メインフレームeServer zSeries向けとs/390向け、UNIXサーバーのeServer pSeries向け、オフコンのeServer iSeries向け)の七つである。
また、今回からクラスタリング・ソフトを別売とする。「片手間ではなく、専門スタッフが開発することで、より良い製品にするため」(同)。無償製品が有償になることへの顧客の抵抗は、「少ないとみている。大規模なクラスタ・システムを作る場合にはもともと、市販のクラスタリング・ソフトを買う顧客が多かったからだ」(同)。米国ではダウンロード販売のみだが、国内ではパッケージによる販売も検討中。年内には出荷を開始する見通しである。