ソニーNTTドコモは、非接触型ICカードの機能を搭載した携帯電話機を開発する。ソニーの「FeliCa」方式に基づくもので、両社は来年1月をめどに新会社「フェリカネットワークス」を設立する予定だ。NTTドコモは今年12月から商用試験を実施した後、来年半ばにPDCとFOMAを合わせて5~6種類の対応機種を発売する予定である。

 FeliCaはJR東日本のICカード乗車券「Suica」や、ビットワレットの電子マネー「Edy」などに採用されている。11月1日からは、JR西日本もICカード乗車券「ICOCA」の本格運用を始める予定だ。ソニーとNTTドコモはこうしたサービス事業者に働きかけ、乗車券や電子マネーの機能を携帯電話機でも使えるようにする。手元でチャージや残高の確認が可能になり、利便性が向上する。
 
 ただし“本命”のICカード乗車券の搭載については、技術開発のハードルがまだ高そうだ。鉄道関係者は「携帯電話機のきょう体が強固な電磁波シールドとなり、自動改札でFeliCaを読み書きする際の障害になる。電子チケットなどより高速性と信頼性も要求されるので、乗車券機能を当初から実現するのは難しいのではないか」とみる。

 フェリカネットワークスの資本金は約60億円で、ソニーが60%、NTTドコモが40%を出資する。従業員は約90人。ソニー出身の河内聡一氏(写真上中央)が社長に就任する予定である。同社は、FeliCa機能を搭載した携帯電話機に関する技術開発と、FeliCa用アプリケーションの配布やユーザー認証に必要なサーバーの運営を手がける。今後、端末メーカーに対してFeliCaとその関連技術のライセンスを供与していく予定である。KDDIやボーダフォンに対しても、分け隔てなく技術を提供する用意があるという。

 ソニーとNTTドコモが10月27日に開催した発表会では、ソニー製の「SO504IC」とNEC製の「N504IC」(いずれも試作機)を使って、電子チケットのデモを披露した。ソニー製端末は液晶裏面に、NEC製端末は本体裏面にFeliCaの読み取り部を示すマークがプリントされている(写真下)。FeliCaのアプリケーションは、ユーザーが必要に応じてダウンロードして追加できる。FeliCaの機能はUIM(User Identity Module)カードなどの抜き差し可能な媒体ではなく、本体に搭載する。

本間 純=日経コンピュータ