ユビキタス・コンピューティングの研究を手がけるYRPユビキタスネットワーキング研究所は10月24日、無線LANやBluetooth、ICタグ・リーダーなど、複数の無線通信機能を内蔵した小型端末「ユビキタス・コミュニケータ」を開発したと発表した。ICタグのデータを読み取り、それに関連する情報を無線LANやBluetoothを使ってネットワーク上のサーバーから取り込むといった使い方ができる。早ければ来春にも、この技術を使った製品がメーカーから登場すると見られる。

 ユビキタス・コミュニケータでデータが読めるのは、ICタグ関連の標準化団体「ユビキタスIDセンター」が認定したICタグ。認定ICタグであれば、通信に使う周波数が2.45GHzと13.56MHzで違っていても、同じ端末でデータを読める。ユビキタス・コミュニケータはICタグのデータを読み取ると、当該データを液晶画面に表示したり、音声で出力する。動画のように容量が大きいデータは、ネットワーク経由でダウンロードしてから液晶画面に表示する。

 例えば、大根に張り付けたICタグのデータを読むと、生産者や収穫日の情報を音声で出力する。さらに生産者からのビデオレターをネットワーク経由でダウンロードして流す。YRPユビキタスネットワーキング研究所長を務める坂村健東京大学教授は、「色々なものに付けたICタグのデータを読んで、その情報を高度に活用できる小型の端末を開発したのは世界で初めて」という。

 ユビキタス・コミュニケータの大きさは縦120×横75×厚さ17.2ミリ。重量は約175グラム。VoIP(ボイス・オーバーIP)の機能も搭載しており、ユビキタス・コミュニケータ同士で音声通話もできる。

栗原 雅=日経コンピュータ