NECソフトは中国でのオフショア開発に失敗し、多額の損失を出した。中国に発注していたJavaによる大規模な販売物流システムの開発が難航し、このプロジェクトだけで上半期に約10億円の損失を出した。下半期と合わせると損失は20億円程度に膨らむ模様だ。オフショア開発は、コスト削減を目的に海外のソフト会社へ開発を委託すること。

 NECソフトは、販売物流システムの開発プロジェクトが難航した原因について、「タイトなスケジュールのもと、開発基盤となるフレームワークの整備やプログラム部品の活用に関する体制が整わないまま中国の提携ソフト会社に外注した。結果、テスト時にパフォーマンスが極端に低いことが分かり、日本の本社内で最初から作り直すことになってしまった」(広報)と説明している。

 現在も販売物流システムを急ピッチで作り直している最中。完成するのは来年春ごろになる。当初は2003年末までにシステムを納品する予定だったと見られる。この影響で、同社が10月22日に発表した2003年度9月中間期決算は、経常利益が前年同期比38%減の約29億円と大幅減益だった。

 上半期の予算に対する経常利益の減少分は約18億円。そのうちの大半が、このプロジェクトの影響である。2003年度通期(2003年4月~2004年3月)の連結経常利益は、前年同期比約14%減の82億円になる見通し。

井上 理=日経コンピュータ