野村総合研究所(NRI)は、モバイル環境でのデータ通信料を削減するミドルウエア「Mobiletune」を11月に出荷する。「モバイル端末を持つ3000~5000人がデータ通信サービスを利用している企業で、月額の通信料金が1000万円とすると、少なく見積もっても400万円は削減できる」(NRIの森本教稔グループマネージャーCDNプロジェクト室)という。

 Mobiletuneは、サーバー側とノート・パソコンやPDAなどのクライアント側の双方に導入する。独自プロトコルと独自の圧縮技術を使って通信することにより、Webページの表示速度を早めたり、流れるパケットの量を削減できる。

 森本グループマネージャーは、「TCP/IPは有線の接続環境を前提にしており、途切れたり、通信速度が極端に低下することがある無線通信には向かない」と指摘。例えば、TCP/IPではパケットが再送されるまでに数秒間あくことがあり、メールやWebページの受信完了までに時間がかかることがあるという。

 NRIが開発した独自プロトコル「Mobile-UDP」は、UDPをベースにして再送制御機能やセッション維持機能を盛り込み、こうした問題を解消した。例えば、ファイルのダウンロード中にトンネルなどに入って通信が途切れた場合、再接続すると、ファイルの続きをダウンロードできる。

 独自の圧縮技術は、メールやGIFファイルなどのヘッダー部分を分離したうえで、まとめて圧縮するのが特徴。「HTTP1.1の標準的な圧縮を利用するよりも、圧縮率が高くなる」(森本グループマネージャー)という。

 価格は1サーバー、25同時接続で400万円から。Windows用のクライアント・ソフトは無料。NRIは関連ビジネスを含めて、初年度で10億円の売り上げを見込んでいる。

(坂口 裕一=日経コンピュータ)