全日本空輸など4社は12月初めから、新東京国際空港(成田空港)でバイオメトリクス認証を使った搭乗手続きの電子化実験を始める。空港での保安検査や搭乗ゲートでの本人確認に顔認証を使うことで、セキュリティ強化と出国手続きの迅速化を図る。2004年3月までの予定で、全日空のほか、新東京国際空港公団、沖電気工業、NTTデータが協力する。

 成田空港のチェックイン・カウンタに、顔認証装置を搭載した自動チェックイン機を設置。ここでパスポートの情報をスキャンするとともに、顔の特徴を二次元バーコードに変換し、搭乗券(ボーディング・パス)に印刷して発行する。搭乗ゲートにも顔認証装置を搭載した端末を置き、搭乗券の情報を照合して正しい搭乗者であることを確認する。実験の参加者は、全日空のWebページでチケットレス予約をした搭乗客の中から募る。

 日本政府は米国の入国審査強化策に対応するため、2005年以降、バイオメトリクス認証に対応した電子パスポートを導入する予定である。これに先駆けて、全日空などはバイオメトリクス認証の導入に向けたノウハウの蓄積を図る。日本航空は今年1~3月に顔認証と虹彩認証を併用した実験を実施済みで、全日空に歩調を合わせ、2回目の実験を近く始めると見られる。

(本間 純=日経コンピュータ)