UFJグループのIT関連会社であるユーフィットは、アプリケーションの動作環境としてグループ企業向けに提供するシステム基盤の監視に、日本IBMの「Tivoli」を採用することを決めた。最大の目的は、「システム基盤の開発費用を少しでも安くすること」(ユーフィットの千貫素成オープンプラットホーム部ASP事業グループ調査役)。

 ユーフィットのシステム基盤「総合金融プラットフォーム」は、Linuxを搭載したイージェネラのブレード型サーバー「BladeFrame」約30台を用いて、低価格で拡張性のあるシステム基盤を目指している。構築費用は約5億円と、従来の4分の一程度で済むという。構築と運用はユーフィットが手掛け、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)形式でグループ向けに提供する。

 総合金融プラットフォームは、UFJ銀行向けとUFJ銀行以外のグループ企業向けの二つに分かれている。Tivoliを採用したのはグループ企業向けの方だ。グループ向けの基盤は現在開発中で、来年5月の稼働を予定している。一方銀行向けの基盤は今年9月に完成し、すでに稼働している。

 ユーフィットはこれまで、監視ソフトでは日立製作所の「JP1」を選ぶことが多かった。JP1の機能が要求を満たしていたのはもちろん、UFJグループとして日立製作所との取引が多いことも背景にあった。そうしたなか、今回あえてTivoliを採用した理由について、千貫調査役は「メーカー間で競争原理を働かせたかった」と話す。ユーフィットはTivoliの契約金額を明らかにしていないが、結果的にJP1とそれほどそれほど変わらなかったという。それでも「今後のシステム案件で、JP1とTivoliの価格競争が起こるはず」と期待する。

 千貫調査役は「価格だけでなく料金体系についても、監視ソフトのベンダーには工夫の余地がある」と苦言を呈する。「TivoliにしてもJP1でも、監視対象のサーバーで稼働するエージェントにライセンス料金がかかるのは困る。サーバーを追加するたびにいちいちエージェントのライセンスを買い足さなければならない。拡張性の高いブレード型サーバーを採用して、顧客の要求やシステムの負荷に応じて速やかにサーバーを増強できるようにしているのに、ソフトのライセンス購入費用や手続きが拡張性の足かせとなってしまう。ソフトウエアの料金体系についても、システムの拡張性に沿った料金体系を用意してもらいたい」。

(大和田 尚孝=日経コンピュータ)