EAIソフト(企業内システム統合用ソフト)ベンダーの米ウェブメソッドは、SOA(サービス指向アーキテクチャ)という概念が主流になると見て、製品系列の強化に乗り出す。

 SOAとは、“サービス”を組み合わせてシステムを構築する考え方。ここでの“サービス”は、主にWebサービスを利用して、ハードや開発言語に依存せず、共通に定義されたインタフェースを通じて利用できるプログラム、または、プログラムの集まりを指す。“サービス”は独立性が高いため、ビジネス・プロセスの変化に合わせて“サービス”を組み替えるだけでシステムを変更できる。

 SOAに基づいてシステムを構築すればシステム間を統合するのも容易になるため、米ウェブメソッドのフィリップ・メリック会長兼CEO(最高経営責任者、写真)は、「SOAが今後のシステム統合の主流になる」と見ている。同社のEAIソフトもSOAの考え方を取り込み、Webサービス対応を進めている。

 しかし、SOAがシステム統合の主流になるとEAIソフト・ベンダーには都合が悪い。これまで、EAIソフトは“アダプタ”という独自仕様の接続ツールを使って企業内のシステムを統合することを前提としており、アダプタがEAIソフト・ベンダーの主な収入源になっていたからだ。標準のインタフェースにWebサービスを用いるとアダプタを使わなくても済むため、EAIソフト・ベンダーの収益が下がる。

 そこでウェブメソッドは、EAIソフトの上位に位置するビジネス・プロセスに関する分野の製品に活路を見いだそうとしている。具体的には、定義したビジネス・プロセスに合わせてシステム間の接続や画面構成の設定を支援するBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)や、業務で発生するデータをリアルタイムに収集し、業務分析や意思決定を支援するBAM(ビジネス・アクティビティ・モニタ)と呼ぶ分野の製品を提供していく。「これまでEAIソフトを通してビジネス・プロセスに関するノウハウを蓄えてきた。そのノウハウを有していることが、BPMやBAM市場で当社の強みになる」(メリックCEO)と説明する。

鈴木 淳史=日経コンピュータ