「無線LANが普及するためには、社内であれ社外であれ関係なく業務に利用できるように、通信の安全性とユーザーの使い勝手を高める必要がある」。こう語るのは、無線LAN向けのローミング機器を開発・販売するスウェーデンのアイピーアンプラグド(ipUnplugged)のホーカン・セセル プロダクト・マーケティング担当バイス・プレジデント(写真)である。

 同社は、モバイルIP技術を使ったローミング機能とVPN(実質的な専用線網)機能を持つ通信ソフト群「IMOS」を開発・販売している。モバイルIPとはモバイル機器を利用するユーザーが、あるネットワークから別のネットワークのアクセスポイントに移動しても、前のネットワークと同じ状態で使い続けることができるようにする技術のこと。インターネットの標準化組織であるIETF(インターネット・エンジニアリング・タスク・フォース)が標準化を進めている。

 IMOSはゲートウエイ・ソフト、管理ソフト、クライアント・ソフトからなる。モバイルIPとVPN機能を組み合わせることで、社内のノート・パソコンを家庭や外出先で使う場合でも、設定を変えずに企業ネットワークに接続できるようにした。IPsecを使って通信データを暗号化するので、ホットスポットなどで利用したとしても安全に通信することが可能だ。

 ある無線LANから別の無線LANにユーザーが移動した場合でも、通信を切らずに接続し続けることができる機器はほかにもある。IMOSの場合、社内の無線LANから社外の無線LANへ、また無線LANから携帯電話やPHSによるインターネット接続へなど、全く異なるネットワークに移動した場合でも通信し続けることができるのが特徴だ。これもモバイルIP技術を使うことで実現できた。

 IMOSのクライアント側のソフトが、ユーザーが利用できる無線LANなどのネットワークの状態を判断し自動的に接続先を切り替える。PHSで接続していても、ホットスポットに移動した場合にはホットスポット経由の接続に切り替えるといった具合だ。セセル バイス・プレジデントは、「本当の意味で、“シームレス”な通信を実現できる機器はほかにはない」と自信を見せる。

 IMOSは、NECがソフトのライセンス供与を受けて「CX7504」として3月から国内販売している。価格は10ユーザーの場合で182万円から。

(鈴木 孝知=日経コンピュータ)