「ビジネス環境の急激な変化に即応する“オンデマンド経営”へ企業が向かっていくうえで、最大の妨げとなるのは経営者の変革に対する意識だ。経営者自らが変革を強く意識しなければ、企業はオンデマンド時代を勝ち抜いていけない」。日本IBMの大歳卓麻社長は9月26日、同社が開催したプレス向けセミナーでこう述べた(写真)。

 このコメントは、「企業がオンデマンド型のビジネス・モデルを実現するうえで、最大の障壁は何か」という記者の質問に対するもの。IBMは昨年10月に「e-ビジネス・オンデマンド」の構想を発表して以来、「企業は付加価値や株主価値を最大化するために、従来の部門別・事業別といった垂直統合型の組織による社内の最適化から、部門・事業に加えて取引先まで含めた業務の最適化を目指していくべき」といった、オンデマンド経営の重要性を一貫して強調している。

 大歳社長は、「オンデマンドというと、グリッドやオートノミックなどの情報技術や、ITを電気や水と同じように従量制で利用する料金体系を思い浮かべるかもしれないが、それらはあくまでオンデマンド経営を実現する道具に過ぎない。しかも、こうした道具はすでに実現できている」と準備は整っているとの見方を示した。オンデマンド時代の到来時期は、「はっきり示すのは難しいが、個人的な見解では、2~3年後にオンデマンド経営が一般的になる。5年もすればオンデマンド時代を迎えているだろう」と述べた。

(大和田 尚孝=日経コンピュータ)