IPv6普及・高度化推進協議会は9月19日、同協議会が主催する「IPv6アプリコンテスト2003」の審査結果を発表した。IPv6アプリケーションのコンテストは世界的にも珍しく、世界11カ国から33作品が集まった。応募作品にはソフトウエアだけではなく、ネットワーク・システムや自動車といった“アプリ”もあった。

 最優秀作品賞にあたるグランプリ賞には、文部科学省の外郭団体であるメディア教育開発センターの大澤範高教授(写真)が開発した、映像や音声を複数ユーザーで共有できるソフト「着目点の多地点間での遠隔共有ツール」が選ばれた。IPv6のマルチキャスト機能を使った点や、映像の一部をマウスなどで指定する(着目点)と、その部分を詳細表示できる機能などを評価したという。

 そのほか、以下の5作品を優秀作品として表彰した。台湾のイエアリ・サン教授のモバイルIPv6の運用・管理ソフト「HiMIPv6(Hierarchical Mobile IPv6)」、小野雄太郎氏のVoIP(ボイス・オーバーIP)を使った多地点間での電話会議ソフト「Conference over IP」、今野賢氏の、ネットワークの設定を自動化するユニバーサル・プラグ・アンド・プレイ(UPnP)機能をJavaに実装した「Cyber Link IPv6 for Java」、マレーシアのシュアスワラン・ラマダス博士のネットワーク監視ソフト「IPv6 Monitoring Tool」、キールネットワークスのデジタル・ビデオカメラを使ったビデオ会議を可能にするソフト「DV Conf」の5作品である。

 同協議会の村井純会長(慶応義塾大学教授)はアプリコンテストの意義について、「IPv6の普及自体が目的ではない。今回の応募作品のように便利なIPv6アプリケーションがたくさん出てくれば、IPv4で不可能だったことが可能になる。そのような未来を期待している」と語る。

 グランプリ賞とは別に、大手ベンダーが開発した3作品に特別賞「村井賞」が贈られた。NTTの、ADSLサービスやFTTHサービスで使えるインターネット・アクセスのための技術、米マイクロソフトの高機能型のインターネット・メッセンジャー「3°(Three Degrees)、仏ルノーと米シスコシステムズのモバイルIPv6機器を搭載した自動車「MIPv6 powered Car」である。

 同協議会は来年2月に、第2回のIPv6アプリコンテストを開催する。

(鈴木 孝知=日経コンピュータ)