UFJ銀行は9月17日、ATM(現金自動預け払い機)やコールセンターの24時間稼働をはじめとする、個人顧客の利便性向上を目指したプロジェクト「UFJ24」を発表した。寺西正司頭取は発表の席で、「顧客のために何ができるかを真剣に考えた結果の取り組みだ。これからは真のサービス業として、利便性ナンバー・ワンの銀行を目指す」と語った。

 UFJ24は、大きく四つの取り組みからなる。ATMの24時間稼働、コールセンターの24時間稼働、平日夜間や土日祝日も営業する新業態型店舗の開設、そしてテレビ電話窓口の展開だ。

 「大多数の顧客にとって、銀行は素早く用事を済ませて帰りたいところ。それだけに、これまでは、『窓口で待たされるのでイライラする』、『午後3時に店舗が閉まるのは納得いかない』といった声が多かった」。寺西頭取はこう前置きした上で、「UFJ24はこうした顧客の不満を解消するためのものだ。個人顧客の利便性を徹底的に高め、今後4年間で約100万人の取引増加を目指す」と説明した。

 UFJ24を実現するための投資の総額は不明だが、今年度だけで20億円程度をかけた。「投資分は個人顧客の増加による取引の拡大により、2~3年でカバーできる」(寺西頭取)。UFJ24を開始する背景については、「昨年1月の(三和銀行と東海銀行による)合併以来、これまでは店舗の統廃合など内向きのコスト削減を順調に進めてきた。これからは将来の収益向上を目指し、新たな手を打っていくべきだと判断した」と述べた。

 ATMの24時間稼働は、今年9月24日の夜間から、首都圏、東海地区、関西地区の308拠点で実施する。コールセンターの24時間稼働は今年10月1日午前9時から。キャッシュ・カードの紛失などの申し出を有人で24時間受け付ける。

 新業態型の店舗「UFJプラス」は、振込や振替、キャッシュカードの即時発行などのサービスを提供する個人顧客向けの店舗。両替や現金・小切手の取り扱い、投資信託や各種ローンの取り扱いは行わないものの、平日は午前9時から午後8時まで営業する。土日祝日も休まず、午前10時から午後5時まで店を開ける。今年11月13日、大阪市内に第1号店を開設するのを皮切りに、東名阪で合計10店舗を展開する予定だ。

 テレビ電話窓口(ACM)は、UFJ銀行の営業店に設置した専用端末のこと。顧客はACMを使い、テレビ電話でオペレータと対話しながら、口座開設や住所変更届けの提出、住宅ローンの繰上げ返済などができる。UFJ銀行は今年7月、ACMを全国388支店に合計521台設置している。今後は150拠点をメドに、ACMの操作方法を案内する担当者を配置する。

 寺西頭取はUFJ24の開始に伴うシステム対応について、「もともと準備はできている。昨年1月の合併時に稼働させた新システムは、24時間連続稼働を視野に入れて設計してあるからだ」と話した。

(大和田 尚孝=日経コンピュータ)