<B>稼働式典でテープカットを行う東邦銀行と富士通の幹部</B><BR>東邦銀行の瀬谷俊雄頭取は右から4人目、富士通の秋草直之会長は右から5人目
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 「勘定系システムの再構築に取り組んだこの3年間、開発の遅れや稼働の延期もあって、ゴルフに例えればフォローでなくアゲンストだった。必要以上に厳しい報道もされた。だが、今に見ていろの気持ちで今日まで取り組んできた。ようやく念願の新システムを稼働させ、成果を天下に示すことができた」。福島県の地方銀行である東邦銀行の瀬谷俊雄頭取は9月16日、福島市内にある同行のシステムセンターで午前8時30分から開かれた新システム稼働式典の場で、こうコメントした。

 東邦銀行が9月16日に稼働させた新勘定系システムは、富士通の勘定系パッケージ「PROBANK」を中核に採用したもの。当初は今年1月の稼働を予定していたが、昨年11月に稼働を今年9月に延期すると発表していた。富士通がPROBANKを納期までに完成できなかったのが、延期の理由である。

 稼働は遅れたものの、切り替えの準備は万全であったことを瀬谷頭取は強調。「休日の切り替えテストだけでも、もうやらなくてもいいというぐらい7~8回は繰り返した」と強調した。稼働当日に式典を実施した目的について質問が飛ぶと、「問題なく稼働させる自信があるから、稼働初日に行った。自信がないから隠れてコソコソ動かして、安定してから発表するのではない」と答えた。

 式典に出席した富士通の秋草直之会長は、「稼働までには大変なエネルギーを使ったが、約束どおり共同利用型のパッケージ・システムを作り上げた」と、初のPROBAKの稼働実績を示したことに充実感をにじませた。式典には秋草会長のほか、PROBANK事業の責任者である斑目廣哉専務をはじめ多数の富士通幹部が出席。さらには東邦銀行に引き続きPROBANKの導入を決めている北都銀行(秋田県)や清水銀行(静岡県)の関係者の姿もあった。

 新システムの効果について、瀬谷頭取は「24時間のオンライン稼働や新商品の迅速な開発、行政制度へのスムーズな対応など、経営戦略を支えるシステム基盤を整備できた」と説明。「新システムをアウトソーシングすることで、勘定系の維持に必要な人件費や物件費を削減できるメリットもある。具体的には従来の2割程度のコスト・メリットがあると見ている」と続けた。

 新システムの導入にかかわる初期費用は16億円弱。新システムの運用・修整については、富士通との間でアウトソーシング契約を結んでいる。アウトソーシングの契約費用は初年度の1年間で十数億円の見込み。契約期間は8年間。

 新システムへの切り替え作業は、9月13日土曜日からの3連休で実施した。「39時間かけて口座データを移行し、その後外部システムとの接続確認テストや営業店端末からの打鍵テストをこなした。15日月曜日、夜7時の臨時取締役会議で、最終の稼働判定を全員で行った」(瀬谷頭取)。

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稼働式典でテープカットを行う東邦銀行と富士通の幹部
東邦銀行の瀬谷俊雄頭取は右から4人目、富士通の秋草直之会長は右から5人目

(大和田 尚孝=日経コンピュータ)