中国天津高新技術産業園区 日本事務所の韓金光 所長

 「多くの日本企業は、まだ中国を人件費の安い製造拠点として見ている。だが現在の中国はすでに大きなビジネス・チャンスのある市場に変化してきている。私たちは、中国でのソフト開発ビジネスに興味を持つ日本の中小ソフトハウスを誘致して、ともに成長したい」。こう話すのは、中国天津高新技術産業園区(天津ハイテクパーク)日本事務所の韓金光 所長だ。

 北京から南東に約140キロメートルに位置する天津市は、北京や上海、重慶と同じ、中国政府が直轄管理する4都市の一つ。日本流にいえばハイテク工業団地に当たる天津ハイテクパークには、すでに外資企業が750社進出し、そのうち102社を日本企業が占める。

 韓所長によると、天津ハイテクパークは、成長分野であるとしてソフト開発会社の誘致に力を入れている。なかでも、韓所長が誘致に期待を寄せているのが日本の中小のソフトハウスだ。

 誘致を促進するため、同ハイテクパーク日本事務所では、中国市場でソフト開発ビジネスを進めるために有効なマーケティング情報や、中国政府による外国企業への優遇措置などの情報を、日本のソフトハウスに提供していく。一般的な情報は無料で提供するが、個別調査などが必要な情報については有料にする予定だ。今後、天津ハイテクパークの下部組織として、日本の中小ソフトハウスの営業を支援する会社を設立することも検討している。

 また、天津ハイテクパークの近隣にある天津大学や南開大学が運営するソフト開発会社と日本の中小ソフトハウスの協業についても、天津ハイテクパークが支援する意向だ。「大学が運営するソフト開発会社には財務や金融などの業務知識がある。日本の中小ソフト会社との協業の余地はあるはずだ」(韓所長)。