横須賀市は、基幹業務システムである税総合システムをオープン化する。現在、要件定義を進めており、2005年4月に本格稼動する。

 NECのメインフレームで稼動している税総合システムを、Windowsを搭載したパソコン・サーバーで稼働するWebシステムで全面再構築する。システム開発は、アイネスに委託。同社の自治体向けパッケージ・ソフト「WebRings」を利用する。

 サーバーのオープン化とパッケージの利用で、横須賀市は年間運用費用の大幅な削減を見込む。「システム稼動後は、年間の運用費用が現在の3割減の1億5000万円で済むようになる予定だ」(横須賀市企画調整部情報政策課)。

 運用コストを削減できる最大の理由は、ハードウエアのリース費用が下がることだ。また、法改正を反映するために必要なアプリケーションの修整コストが減ることも大きいメリットがある。「現在は法改正のたびに、システムを修整しなければならない。パッケージを利用することで、保守費用さえ支払えば法改正の対応はベンダーに任せることができる。そのためにも、カスタマイズは極力排除する」(情報政策課)。

 税業務には、大量バッチ処理や大量印刷処理がつきものだ。バッチ処理については、アイネスがパソコン・サーバー向けに開発したバッチ処理用の運用ツールを利用する。

 大量帳票の印刷については、現時点ではオープン・サーバーよりもメインフレームに専用の高速プリンタを接続した方が速いとされている。横須賀市は印刷業務をアウトソーシングすることで、この問題を解決する予定だ。具体的には、パソコン・サーバーで作ったファイルをアウトソーシングの委託先に引き渡す。委託先が印刷処理を自社設備で行う。印刷業務を横須賀市が自前で抱えた場合に発生するプリンタのリース料や機器設置スペース、電力料金、人件費などを考えれば、外部委託費用に十分に見合う効果があると判断した。

(広岡 延隆=日経コンピュータ)

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