ワーム型のコンピュータ・ウイルス「Blaster(ブラスター)」や亜種の「Welchi(ウェルチ)」が猛威を振るった一連の騒動について、マイクロソフトの平井康文取締役は「多くのことを学んだ。特に、コンシューマ市場におけるセキュリティ対策の普及の必要性を強く再認識し、今後全社を挙げて更なる強化を行っていく」とコメントした。

 今年1月に流行した「SQL Slammer(スラマー)」など、これまで感染力が強かったワームは、主にパソコン・サーバーを標的としていた。しかし今回のブラスターは、Windows2000/XPを搭載したパソコンも容易に感染してしまうため、パソコンの被害が大きかった。

 この点に関して平井取締役は、「これまでは企業ユーザーに向けた情報発信と対策に関して様々な改善をしてきたが、今後はコンシューマ市場のホームユーザーに対しても対策情報が伝わるよう、メディア各社の協力もいただきながら事前対策に注力したい」とした。

 一方で、日本郵政公社など多くの企業ユーザーがブラスターに感染したことも事実である。ブラスターは既知のセキュリティ・ホールを突くワームで、修正ソフトは事前に配布されていた。ブラスターに感染した企業ユーザーの多くは、修正ソフトの存在を知りながらも、導入している個別の業務アプリケーションと修正ソフトの相性を調べるための、動作環境の確認に時間がかかり、結果として修正ソフトのインストールが間に合わなかった。

 こうした問題について平井取締役は、「既存の業務システムの動作確認などいくつかの理由で、短期間でシステム環境を更新できない顧客企業がいらっしゃったことは確かだ。そういった顧客企業の環境を十分理解した上で、最適な運用管理のソリューションをご提案し、堅牢でかつ柔軟性のあるシステム実現に向けて、一層のご支援を強化したい」とした。

井上 理=日経コンピュータ

●日経コンピュータ9月8日号で、マイクロソフト平井取締役へのインタービュー記事を掲載します。