日本IBMは9月中に、Visual Basicで記述したソース・コードをJavaに変換するツールを出荷する。近々、正式に発表する予定。Java開発者向けの開発支援ツール群「developerWorks Toolbox」に同梱して提供する。developerWorks Toolboxのユーザーは、費用の追加負担なしで変換ツールを使える。

 変換ツールは、VBのソース・コードのうち画面表示の記述部分を、オープンソースのJ2EEフレームワーク「Struts」に準拠したJavaアプリケーションに変換する。クライアント/サーバー型のVBアプリケーションをWebアプリケーション型のJavaアプリケーションに作り換えるといった使い方を想定する。

 将来的には、データベース・アクセスの記述部分を変換する機能も実装する予定だが、業務ロジックの記述部分は変換対象とはしない。プログラムを書き換える場合、ツールで丸ごと自動変換するよりも、開発言語の特徴を生かして手を入れるべきと判断したからだ。今回の変換ツールは100%の自動変換を狙ったものではなく、手作業での変換作業を支援するツールという位置付けといえる。

 日本IBMは変換ツールの投入で、VBからJavaへの移行促進を目指す。ひいては、アプリケーション・サーバー「WebSphere」をはじめとするIBM製品の市場拡大を目論む。これに先がけて今年6月にはdeveloperWorks Toolboxを出荷するなど、IBMはマイクロソフト対抗の開発ツールを相次いで投入している。

 変換ツールは、developerWorks Toolboxの3種類のなかで、中位に当たる「プロフェッショナル・レベル」(25万200円)と最上位の「エンタープライズ・レベル」(47万9000円)に同梱する。入門者向けの「スターター・レベル」(5万7100円)には同梱しない。

 変換ツールの提供に併せて、日本IBMはSIサービスでも変換ツールを生かしていく。「VBアプリケーションをJavaアプリケーションに変換してほしい」といった顧客の要望に対して、変換ツールを使う。同社の試算によれば、表示画面が多いVBアプリケーションの変換では、作業工数を8割削減することも可能という。工数が減らせる分だけ、変換サービスを顧客から受注した場合の料金を下げることができる。このほか要望があれば、ユーザー企業やシステム・インテグレータに変換ツールをライセンス販売する。ライセンス費用は個別に見積もる。

大和田 尚孝=日経コンピュータ