「Blaster(ブラスター)に関するユーザーへの告知は、電子メールとWebページというネットワークを利用するものに依存しすぎた。感染するとこれらが利用できなくなり、有効に働かなかった」。マイクロソフト日本法人の東(ひがし)貴彦取締役経営戦略担当は8月20日、記者向けの説明会でこう反省の弁を述べた。

 マイクロソフトはBlasterが狙うセキュリティ・ホールの発見以降、製品の登録ユーザーなどへ146万通のメールを送ったり、全国紙に対策を告知する広告を掲載してきた。しかしネットワークを使う方法が多い、一般のユーザーが理解できるように説明できていない、といった原因で、「一般のユーザーに対しては十分な告知に至らなかった」(東取締役)という。

 Blasterにパソコンが感染すると、再起動を繰り返したり、LANを通じてほかのパソコンに感染させたりする。このためインターネット経由ではWindowsのパッチ・ソフトや駆除ツールをダウンロードしたり、対処のための最新情報を収集したりできない。企業ならまだしも、パソコンを1台しか使っていないような一般のユーザーには、解決が難しい状況にあった。

 今後の対策としてマイクロソフトは、今回問題となっているセキュリティ・ホールを修正するパッチ・ソフトと、ウイルス対策ソフト・ベンダーが提供する駆除ツールを納めたCD-ROM20万枚を無償配布する。このほか新聞広告によるさらなる告知や、8月24日まで24時間体制で電話サポートをする体制を整える。

 長期的には、システム・ファイルなどを自動更新する「Windows Update」の重要性を訴える告知を強化したり、Windowsを最初にインストールしたときの設定内容をセキュリティが高くなるように変更したりするなどの施策をとる。

坂口 裕一=日経コンピュータ