経済産業省は8月15日、オープンソース・ソフトの利用を促進するための研究報告書である「オープンソース・ソフトウェアの現状と今後の課題について」を発表した。

 注目すべき点は、日本の特許法や著作権法、裁判の判例に照らし合わせて、オープンソース・ソフトの代表的なライセンスであるGNU GPL(GNU General Public License)を解説したこと。経産省は同報告書の中で、「我が国で初めて複数の専門家による集中的な討議を行い、特許との関係、著作権法との関係、裁判管轄など、多様な論点について課題をとりまとめた」としている。

 最近、米ザSCOグループがLinuxユーザー企業に対して「UNIXの知的財産権を侵害している」と警告していることもあり、企業でオープンソース・ソフトを利用する際の合法性に注目が集まっている。しかし、オープンソース・ソフトのライセンスの多くは英語で書かれており、その内容には不明確な点も多く、企業が利用する上での不安につながっていた。

 報告書では「不安や誤解でオープンソース・ソフトウェアへの取り組みが遅れているなら、ソフトウェア産業や政府、国民生活全般にとって大きな損失」としている。報告書は、不安を払拭するのが目的で作成された。

 報告書は全体で111ページあり、ライセンスのほか、オープンソース・ソフトの最近の動向、ユーザーの活用事例、ビジネスで活用するときの問題点なども紹介している。インターネット経由で誰でもダウンロードして、閲覧できる。

(坂口 裕一=日経コンピュータ)