世界規模で猛威を振るっている新種のワーム(ウイルス)「Blaster(ブラスター)」に感染し、住基ネットとの接続を一時遮断していた世田谷区役所は、すでに感染したコンピュータの大部分の駆除と対策を済ませており、週明けの18日に接続を再開する見通しである。これにより、一部支障が出ていた業務も通常に戻る。

 世田谷区役所は、12日午後にBlasterの感染を確認。夜には1800台あるパソコンのうち、約100台がBlasterに感染していることが判明した。世田谷区は万が一に備えて、12日夕方に住基ネットを介して東京都と接続していた「コミュケーション・サーバー」の電源を切った。このため、パスポート取得申請など、住基ネットを通じてデータ送信していた一部業務を手作業で対応していた。

 世田谷区政策経営部情報政策課の福田督男課長は日経コンピュータの取材に対し、「感染したパソコンの駆除はすべて終わり、ほかのパソコンのチェックもほぼ終えている。ただ、なかには職員がいないとチェックできないパソコンもあり、最終的に安全確認が完了するのは職員が出そろうお盆明けの月曜日午前中になる。安全確認の完了をもって、住基ネットの端末の電源を投入する」と語った。

 また、この取材のなかで、パソコン100台に加えてパソコン・サーバー1台もBlasterに感染していたことが明らかになった。感染したサーバーは、区役所の職員の人事情報を扱う人事管理用のサーバーで、外部のネットワークとは直接接続されていないという。ほかのサーバーは適切なパッチがあてられていたために事なきを得たが、人事管理用のサーバーにはパッチがあてられていなかった。

 感染ルートに関しては、依然として調査中としているが、福田課長は「ネットワーク経由で外部から感染することは、現在の対策上、考えられない。職員のパソコンからフロッピー・ディスクなどのメディアを通じて感染したか、運用上許されていないことだが、ノート・パソコンを持ち帰った職員が自宅でインターネットに接続して感染したのではないか」との見方を示した。

(井上 理=日経コンピュータ)