「今後5~8年間、コスト削減を目指してシステムや業務をアウトソーシングしようとする企業が増えると見ている。だが、企業は何でも闇雲にアウトソーシングをすべきではない」。こう語るのは、日米のアウトソーシング事情に詳しい米EDSのロブ・ラスムーセン ビジネス・アクセラレーション・サービシズ・ソリューション・コンサルティング・エグゼクティブ・ディレクタである。EDSはアウトソーシングで米IBMと並ぶ大手。

 ラスムーセン氏は「業務にはアウトソーシングに向くものと、そうでないものがある」と指摘する。アウトソーシングに向く業務は事業の核ではない分野。「米国では企業間決済や人事、資材調達などの業務をアウトソーシングする企業が多い」(ラスムーセン氏)。「事業の核となる分野を外に出さない」というのは企業にとって当たり前のことだが、ラスムーセン氏は「自社のコア(核)が何かをきちんと整理して理解している企業は意外に少ない」と指摘する。

 さらにラスムーセン氏は、「アウトソーシングをするときは、何年後にどれだけの利益を出せるようにするのかを検討することも重要だ。さもないと最初のうち、アウトソーシングをしたことに疑念を抱くことになる」という。アウトソーシングでは、「最初の2~3年はアウトソーシングしないときよりIT投資が多くなることがよくある。こうしたことを理解したうえで契約期間などを含むアウトソーシングの戦略を立てる必要がある」(ラスムーセン氏)。

 米国にはアウトソーシング契約に特化したコンサルティング会社がある。プロ野球選手に代わって球団と年俸を交渉する「代理人」のように、交渉専門のコンサルタントが企業の要望を聞き、契約期間やエンド・ユーザーへの教育などの面でベンダーから好条件を引き出す。こうしたコンサルティング会社がユーザー企業に対し、アウトソーシングをする際に考慮すべき点を指導しているという。

栗原 雅=日経コンピュータ