e-Japan特命委員会、デジタル・アーカイブ小委員会の山口俊一委員長
 自民党の調査部会である「e-Japan重点計画特命委員会」は7月29日、デジタル・アーカイブの整備と利用の推進策をまとめた。デジタル・アーカイブとは、博物館や美術館の文化財、官公庁の報告書や統計データ、各種の映像資産などをデジタル・データにして大量に保管し、インターネット経由で閲覧可能にする仕組み。

 具体的には、公的機関のコンテンツを集める「国立デジタル・アーカイブ」構想と、公的機関に加え民間企業やNPO(特定非営利活動法人)などのコンテンツも集める「ジャパン・ウェブ・アーカイブ」構想がある。いずれも国立国会図書館が管理する。それぞれ数十億円程度の予算を請求する見込み。

 e-Japan特命委員会、デジタル・アーカイブ小委員会の山口俊一委員長(写真)は「2006年度をメドに整備を目指す。地上波のテレビ局のデジタル化が完了するのが2006年度だが、そこで供給するコンテンツの不足が予想されている。デジタル・アーカイブによってコンテンツ不足を補いたい」と語る。

 民間企業の参加を呼びかけるために、法的整備も進める。映画やテレビ番組といったコンテンツの信託管理や二次利用の契約体系を見直す。コンテンツ流通、企業のデジタル・アーカイブへの参加を通して、利用料を徴収するビジネス利用の成立を狙う。

 システム面では、認証や著作権管理、改ざん防止などの機能を整備する。また、互換性確保のための共通フレームワークや、検索データの埋め込み方についても今後議論していく。民間も含めた基盤整備には、3年で100億円程度の予算を請求する。

 すでに政府は7月2日に決定した「e-Japan戦略II」の中で、デジタル・アーカイブによるWebコンテンツの充実を、七つの施策の一つとして掲げている。e-Japan特命委員会は、今回決定したデジタル・アーカイブの推進策を、e-Japan戦略IIの実現策として政府に申し入れる。

(鈴木 淳史=日経コンピュータ)