「自動販売機でジュースを買うついでに、音楽も買っておこう」---。モバイルキャストテレマティクスは2004年春にも、無線LANによる自動車向けの情報配信サービスを開始する。配信用の小型サーバーを自社開発し、自動販売機の中や自動車販売店に設置。そこから情報配信する予定だ。

 配信する情報は音楽や映画、地図などである。当初はカーナビを対象としたサービスを展開し、2004年秋をメドにカー・オーディオを対象としたサービスを追加する。自動車側には無線LANと携帯電話回線(KDDIのCDMA2000 1x)に対応した車載端末を搭載し、カーナビやカー・オーディオと組み合わせて使う。

 モバイルキャストは2002年10月にオムロンと提携し、2003年春にも自動車向けの情報配信サービスを開始すると発表していた。今回のサービスが実現すれば約1年遅れでの提供開始となる。モバイルキャストはすでに、車載端末の試作ボードやソフトウエアを開発済みで、海外の高級車メーカーやカーナビ/カー・オーディオのメーカーに採用を働き掛けている。

 同社が開発した試作ボードは3種類。一つ目はカーナビに接続する車載端末で、日立製作所の「SH-4」プロセサを搭載する。二つ目はカー・オーディオに接続する車載端末で、米テキサス・インスツルメンツの「OMAP」を搭載している。いずれもOSはLinuxである。三つ目は後部座席の搭乗者などに向けた映像再生専用機で、上記の車載端末、液晶モニターと組み合わせて使う。米イクエータ・テクノロジーズの動画再生用LSIを搭載している。

本間 純=日経コンピュータ