米アリゴのボブ・スミス社長兼CEO PDA(携帯情報機器)、携帯電話と情報をやりとりするサーバー・ソフト「M-1 Mobile Application Server」などを開発・販売する米アリゴのロバート(ボブ)・スミス社長兼CEO(最高経営責任者)が来日、日経コンピュータの取材に応じた(写真)。取材の要旨は以下の通り。

──アリゴはどんな製品を提供する会社なのか。
 我々のアプリケーション・サーバー製品「M-1 Mobile Application Server」を使うと、4400種類のモバイル・デバイスで利用できるサーバー・アプリケーションを容易に開発できる。価格はサーバーあたり2万5000~5万ドルだ。たとえば、滋賀県長浜市は、市民向けシステムにM-1 Mobile Application Serverを使っている。市民に「このデバイスを使え」ということはできないから、我々の製品を使うのがベストの選択だった。

 「M-1 Mobile Access」という製品もある。こちらはLotus Notes、マイクロソフトのExchangeをモバイル・デバイスで利用するための製品だ。50ユーザーで9500ドル。その後は1ユーザー150ドルだ。多くの企業が最初に求めるのはモバイル・デバイスで社内の電子メール・システムにアクセスすることなので、最初にこの製品が導入されることが多い。

──企業システムの場合は端末を特定できるので、4400種に対応しても意味がないのではないか。
 従業員であっても、一人ひとりが違うデバイスを使いたがるのが普通だ。また、米国の場合は地域ごとに携帯電話の会社が違う。全国のセールスマンに1種類の端末を持たせることはできない。

──4400種類もの端末に対応できるのはなぜか。
 君が思っているほど困難なことではない。携帯電話機のメーカー、たとえばモトローラ、ノキア、京セラなどの会社は電話機を作るとその「プロファイル」を我々に販売してくれる。そのプロファイルが、言ってみればプリンタ・ドライバのような役割を果たすわけだ。4400種類の端末すべてをテストするわけじゃないが、QA(品質保証)プログラムの中で十分なテストを行っている。

──日本でのビジネスは。
 すでに我々は日本に兼松コミュニケーションズテクマトリックス日本テレマティークといった販売パートナを持っている。米サン・マイクロシステムズも世界的な我々のリセラーだ。こうした会社との協力関係により、我々の売上げの40%は日本からのものになっている。日本に事務所を開設したのはこの5月だが、日本でのビジネスはすでに立ち上がっている。

──製品の改良は進めているか。
 M-1 Mobile Application Serverは、サン、IBM、BEAシステムズなどのJavaアプリケーション・サーバー製品と組み合わせて使うものだった。「シルバー・ビュレット」というコード名を持つ新版では、マイクロソフトの.NET環境で使えるようにした。これで、Javaと.NETという二つの世界で使えるようになった。

──ライバルはどこか。
 米RIMブラックベリ米エーサ・システムズといったところだろうか。でも、技術的なビジョンの面で、我々は彼らを大きく引き離していると思う。

──あなたはこの会社の創設者じゃない。この会社の経営を引き受けた理由は?
 次はモバイルだ、って思ったからさ。私は昔COBOLプログラマだったんだ。3270端末の時代があり、クライアント/サーバー、Webときて、今度がモバイルになるのは自然な成り行きだ。その分野のリーダーで、いいパートナを持つ。アリゴはそういう会社だ。

(聞き手は原田 英生=日経コンピュータ)