通信工事大手の日本コムシスは7月15日、中期経営計画を発表した。ネットワーク構築やシステム構築、ネットワーク運用監視といったIT関連事業の拡大に注力する。2003年3月期は全体の約2割だったIT関連事業の売り上げを、2006年3月期に4割に引き上げることを目指す。同社の島田博文代表取締役社長は、「ネットワーク工事などで培ったノウハウを生かして、法人向けIP電話サービスなどの事業を拡大する」と意気込みを語る。さらに「ネットワーク構築と併せてERPパッケージの導入を提案するといった、ワンストップ・サービスの提供を将来的には目指す」という。

 これに備えて日本コムシスは7月、社内に「IT推進本部」を新設した。全国200カ所の営業拠点におけるIT関連事業を後方支援する。同社全体では、約450人のソフトウエア開発者と、約80人のネットワーク構築技術者がいる。

 日本コムシスの売り上げの過半は、NTTグループ向けの通信設備の建設事業によるもの。ただし、NTTグループ向けのビジネスは今後大きな伸びが期待できない。そこでIT関連事業を強化し、収益構造の転換を図る。

 ただし、IT関連事業の強化は、日本コムシス以外の通信工事会社も打ちだしている。IT専業ベンダー間の競争も激しい。島田社長も「システム・インテグレータとしては後発の当社が、大企業を顧客として獲得するのは難しい」と認識している。そこで日本コムシスは、「自らが建設業で、その業務に精通している強みを生かして、中堅中小の建設業を顧客として強く意識していく」と言う。

西村 崇=日経コンピュータ