奈良県の南都銀行は7月11日、東京三菱銀行が中心に進めている地銀向けのシステム共同化プロジェクトに参加すると発表した。南都銀行は現在、基幹系システムの中核である勘定系に富士通のメインフレームを使っているが、東京三菱銀行の共同化は日本IBMが全面的に支援しており、南都銀行にとっては事実上富士通からIBMへのリプレースとなる。共同化プロジェクトに参加する地銀は南都銀行で5行目だが、他メーカーからのリプレースは初めて。稼働時期は2008年5月ごろと見られる。

 南都銀行は、共同化プロジェクトに参加する目的として、「システム・コストを3~4割削減できるのが大きい。だが、単なるコスト削減にとどまらず、共同化への参加で技術的に優れている共同システムを使えると判断した」(総合企画部)と説明する。

 東京三菱銀行が進める共同化プロジェクトの特徴は、共同システムの中核に東京三菱銀行のシステムを採用すること。東京三菱銀行はIBMや参加地銀とともに、共同システムの開発にも携わる。地銀の共同化プロジェクトに大手銀行が直接参加することは、極めて珍しい。「稼働実績のあるシステムがベースになっているのも、参加を決めた要因」(総合企画部)。

 共同化の範囲は、勘定系と情報系などに及ぶ。共同化に参加する地銀は、東京三菱銀行が自行向けに開発した先進的な機能を継続的に取り込み、顧客サービスを強化する。また、共同システムの運用・開発を日本IBMにアウトソーシングして、システム・コストの削減を目指す。一方、東京三菱銀行は、地銀4行とのソフトウエア使用許諾契約で得られる対価を、システム投資の回収に充てる。

 南都銀行に先がけ、足利銀行(栃木県)、百十四銀行(香川県)、十六銀行(岐阜県)、常陽銀行(茨城県)の地銀4行が共同化プロジェクトに参加している。4行はいずれも、メイン・ベンダーが日本IBMで、現行システムにも東京三菱銀行の勘定系パッケージを導入している。

大和田 尚孝=日経コンピュータ