通信機器大手のノーテルネットワークスは7月1日、セキュリティ機能を付与した無線LAN向け新製品3機種を発表した。暗号化機能やユーザー認証機能を備えた無線LANカード、アクセス・ポイント、複数のアクセス・ポイントを集約・管理するスイッチ製品である(写真)。意外なことに、同社が無線LAN機器を提供するのは初めて。シスコシステムズなどの競合他社に比べてかなり遅めの参入と言える。

 無線LAN市場への参入がこの時期になった理由について米ノーテルで無線LAN製品群のプロダクト・ライン・マネジャを務めるラヴィ・クマール氏は、「最近、無線LANのセキュリティに関する標準規格が定まるなど、ユーザーは無線LANへのセキュリティ対策を求めている。これまでノーテルが培ってきたセキュリティ技術を生かすことで、他社の無線LAN機器との差別化が可能になったと考え、投入を決めた」と説明する。

 例えばスイッチ製品「Nortel Networks WLAN Security Switch 2250」は、ネットワーク管理者の許可を得ずに勝手に設置されたアクセス・ポイントを検出できる。無許可のアクセス・ポイントをなくすことで、盗聴などによる情報の漏洩を防止することが可能だ。クマール氏は、「将来的には、無許可のアクセス・ポイントからは通信できないようにする機能を追加する」と語る。クライアント・パソコンとの通信を暗号化するVPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)機能も備える。利用可能な暗号化技術はSSL(セキュア・ソケット・レイヤー)やIPSecなどである。

 このほか2250は、ユーザーが無線LANに接続したまま別のネットワークに移動してもアプリケーションをそのまま使うことができるローミング機能を持つ。10BASE-T/100BASE-TXのLANポートを4個と、10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-TのLANポートを2個備える。価格は164万円で、8月初旬に出荷する。

 無線LANカード「Nortel Networks WLAN Mobile Adapter 2201」とアクセス・ポイント「Nortel Networks WLAN Access Point 2220」で利用できる暗号化方式は、WEP(ワイヤード・イクイバレント・プライバシ)。ユーザー認証方式には、認証機能の標準規格「IEEE802.1.x」に準拠するEAPが使える。価格はそれぞれ3万8000円、14万2000円。出荷時期はともに10月である。

鈴木 孝知=日経コンピュータ