富士通は6月中旬から東京電力管内のユーザー企業約10万社を対象に、電力不足に伴う停電に備えてシステムの電源装置の点検を始めた。富士通の社員約2万5000人がシステムの自家発電装置やUPS(無停電電源装置)のチェックや、データのバックアップの状況確認を行うことに加え、ユーザー企業に対して注意を喚起する内容のペーパーを配布する。問題が見つかった場合は、電源装置の取り替え作業を有償で行う。

 富士通によれば、ユーザー企業のパソコン・サーバーやUNIXサーバーの約40%、メインフレームの約10%がUPSを備えていないという。富士通の長野佳久 経営執行役マーケティング本部長は、「大切なデータが消失してからでは遅い。UPSを備えているサーバーでも2年ほどで内部のバッテリが切れてしまっている場合もある。注意を喚起することで、ユーザー企業のトラブルを未然に防ぐこともメーカーの責務と考えている」と語る。また長野氏は、「電力不足の問題をシステムの運用体制を見直す契機にしてほしい」と続けた。

松浦 龍夫=日経コンピュータ