ニックス氏(左)とチョウ氏(右) 「当社の現在の競合相手は、企業が独自開発したCRM(顧客関係管理)ソフトだ。ERPパッケージ(統合業務パッケージ)ベンダーのCRMソフトは、機能が“浅い”」。来日した米シーベル・システムズのケビン・ニックス インダストリー・アプリケーション事業部統括副社長(写真左)は、こう見解を述べた。

 現在、CRM市場にはERPパッケージ・ベンダーが進出し、基幹系システムとのデータ連携を強みにしたCRMソフトを販売している。例えば、SAPジャパンは6月25日に米シーベルと同様に、業種別の機能を備えたCRMソフトの新製品「SAP CRM 4.0」を出荷した。

 これに対してニックス副社長は、「独SAPはソフトの研究開発のためにCRMだけではなく、SCM、会計、人事管理モジュールなどにも投資をしていかなければならない。さらに各モジュールについて、業種別の機能を研究開発するとなると、必然的にそれぞれは浅いものになる。ソフト開発のリソースは物理的に限られているからだ」と説明する。

 こうしたうえで現在のシーベルのライバルは、「企業が独自開発したCRMソフト」であるとニックス副社長はいう。日本シーベルのカルロス・チョウ社長(写真右)は、「経営層の判断でCRMソフトを導入するのではなく、情報システム部門の予算で開発すると独自開発になる傾向にある。CRMソフトのメリットを訴え、認知を広げていきたい」と語った。

坂口 裕一=日経コンピュータ