「コンピュータの処理能力は急速に高まってきた。だが、今後も従来通りのペースで十分かどうか疑問に思っている」。サン・マイクロシステムズの末次朝彦常務取締役は6月24日、同社主催のイベント「Java Web サービス ソリューション サミット」でネットワーク・コンピューティング戦略について講演。その中で、このような懸念を表明した。

 末次常務が懸念する理由は、ICタグの普及である。ICタグを商品一つひとつに取り付ければ「個品」レベルの管理が可能になる。その結果、データを格納したり加工するサーバーの負荷も一気に高まる。あらゆる商品にICタグが取り付けられると、「そこら中に存在するモノがネットワークにつながり、サーバーにはICタグのデータが次々と入ってくるようになる」(末次常務)。

 そのうえ「ICタグのデータが、いつ、どれだけサーバーに取り込まれるのかを予測するのは極めて難しい」(末次常務)。ICタグの読み取り装置(リーダー/ライター)の制御方法によっては、人手での読み取り指示がなくてもリーダー/ライターがICタグのデータをサーバーに取り込む可能性がある。4~5年前のインターネット・ビジネスの勃興期と同様に、想定外のアクセスが集中してサーバーがダウンするようなトラブルも考えられる。

 末次常務は、ICタグがもたらす膨大なデータの発生に対して、サンがどのようなソリューションを提供するかを明言しなかったものの、「ネットワーク・コンピューティングに伴う管理の複雑化などの問題を、サンは技術的に解決していきたい」と語った。

(栗原 雅=日経コンピュータ)