ERPパッケージ(統合業務パッケージ)最大手のSAPジャパンが、CRM(顧客関係管理)ソフトとSCM(サプライチェーン管理)ソフトそれぞれの新版を出荷する。新版の名称はそれぞれ「SAP CRM4.0」と「SAP SCM4.0」である。CRM4.0は明日6月25日から出荷開始。SCM4.0は今秋に出荷する予定。

 両ソフトの新版について、SAPジャパンの藤井清孝社長は「当社のCRM/SCMソフトはそれぞれ単品で他社製品と比べても、機能や品質ともに最も優れた製品に仕上がっている」と自信を見せる。ただしCRM4.0とSCM4.0は、いずれもバラ売りはしない。業務パッケージ群「mySAP Business Suite」の一部として売られる形態はこれまでと変わらない。

 CRM4.0の目玉をSAPジャパンは、「23種類の業界向けのソリューション(テンプレート)を追加したこと」だという。これまでのユーザー事例をもとに標準機能として盛り込んだもので、具体的には「消費財業界向けの販売プロモーション管理」、「半導体業界向けのチャネル・セールス管理」、「自動車業界向けの顧客・車両管理/ディーラー管理」などがある。これらの業界別テンプレートは標準機能なので、「CRM4.0を導入すれば、ユーザー企業は自分の属する業界だけでなく、必要に応じて他業界のベストプラクティスをも容易に利用できる」(SAPジャパン)というメリットがある。SAPジャパンはCRM4.0を年内に30社に販売する計画。現在、SAP製CRMソフトの導入ユーザー数は、日本国内では30社である。

 SCM4.0で新規に追加されたのは、プロセス監視機能を備えた「イベント・マネジメント(EM)」と、在庫情報を複数企業とWebブラウザ上で共有できるようにする「インベントリ・コラボレーション・ハブ(ICH)」の二つ。このうちEMは、生産から販売、物流といった一連の業務を監視するソフト。例えば、輸送遅延や在庫量に異常値が検出された際に、アラートを担当者に通知する機能を備える。EMはICタグが実用化され、各業務プロセスの現況を示すデータのリアルタイム収集が容易になれば、SAP SCMの目玉の機能になりそうだ。

(戸川 尚樹=日経コンピュータ)