米オラクルは6月17日、米ピープルソフトの株式の買い取り金額を、1株あたり16ドルから19.5ドルに増額すると発表した。それに伴い、買収総額は51億ドルから63億ドルに上昇する。ピープルソフト買収計画を発表する直前の株価15.11ドルに、約30%のプレミアムを付けたことになる。17日のピープルソフトの株価は17.15ドル。

 オラクルは、6月6日にピープルソフトを1株あたり16ドルで買収すると発表した(その記事はこちら)。しかし、17日までピープルソフトの株価はそれよりも高い17ドル台で推移しており、オラクルが買収を成功させるためには、市場の株価よりも高い額を提示する必要があった。オラクルOBで、オラクルのラリー・エリソンCEO(最高経営責任者)をよく知る米ジェネシス・テレコミュニケーションズ・ラボラトリーズのアド・ネドロフCEOが、「1株あたり16ドルという額とエリソンの性格を考えれば、本気で買収をするつもりだとは思えない」とコメントするように、オラクルの買収案に対しては、懐疑的な見方が大勢を占めていた。

 しかし、オラクルは今回19.5ドルという買収額を提示し、本気でピープルソフトの買収を狙っていることを示した。もっとも、当初の「1株あたり16ドルという買い付け額は妥当」(オラクル)という見通しが甘かったことも認めたと言える。

(松浦 龍夫=日経コンピュータ)