兵庫県洲本市は2003年7月中旬に、オープンソース・ソフトを使ったシステムの開発支援プロジェクトを開始する。プロジェクト名は「OSCA(Open Source Community in Awaji)プロジェクト」。同プロジェクトに参加した地元のITベンチャー企業に対しては、通信費の補助や開発場所の提供などを通じて活動を支援する。中川啓一市長自らが積極的にOSCAプロジェクトを進めている。

 同プロジェクトには、NTT西日本やNEC、富士通、日本IBM、三洋電機、システム・インテグレータのコベルコシステムとゼンド・オープンソースシステムズ、神戸電子専門学校、洲本市のITベンチャー企業数社が参加する。OSCAプロジェクトとしての本格的なシステムの開発は、2003年9月に開始する予定で、7月中にシステムの具体的な内容を決定する。まずは、市民の生活の利便性を高めるシステムの開発に取り組む。寝たきりの老人でも行政サービスを容易に利用できるようにするシステムなどが候補として挙がっているという。

 洲本市は、淡路島にある中核都市で、人口は約4万1000人。2003年4月に、政府からIT特区として国内初の認定を受けるなど、ITを地域振興に積極的に活用する方針を打ち出している。この方針に沿って、ITベンチャー企業の誘致を積極的に進めている。OSCAプロジェクトも誘致活動の一環である。洲本市では、OSCAプロジェクトの開始を受けて、ITベンチャー企業の要員に対し、オープンソース・ソフトのソース部分を改変できるよう教育事業を開始する計画もあるという。

(鈴木 淳史=日経コンピュータ)