「企業における平均的なストレージの利用率は、30~40%程度にとどまる。投資対効果を発揮するためにも、ストレージにはもっと効率的に働いてもらうべきだ」。日本IBMでストレージ・ソリューションを担当する佐野正和専任ソリューション・スペシャリストは6月4日、SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)向けストレージを管理する新製品「TotalStorage SANボリューム・コントローラー(SVC)」の発表会で、こう強調した。

 SVCは、バーチャリゼーション(仮想化)と呼ばれる技術を使って、SANのストレージを一元管理する製品。物理的なストレージの容量や性能の違いを吸収して、仮想的なボリュームを形成する。ストレージ・システム製品事業部の松崎耕介事業部長は、「ストレージ関連のコストの8割を占める、管理費用の削減につながる製品だ」と説明する。管理対象のストレージは、出荷当初はIBM製のものに限られるが、「年内には他社製ストレージのサポートを予定している」(佐野スペシャリスト)。

 SAN向けのストレージ管理製品自体は、目新しいものではない。これについて佐野スペシャリストは「仮想化ソフトとそれを実行するハードの両方ともIBM製である」と、他社製品との差異をアピールした。

 SVCは、同社のIAサーバー「xSeries」をカスタマイズして二重化、クラスタ化したハード(SVCストレージ・エンジン)と、Linux 2.4カーネル上に構築した仮想化ソフトで構成される。価格はハードウエアが750万円から、仮想化ソフトが294万円から。管理可能なストレージの最大容量は2PB(ペタ・バイト)。

 このほか日本IBMは、SVCと400GBのストレージ「FAStT」、SANスイッチ、マスター・コンソール、UPS(無停電電源装置)をセットにしたオールイン・ワン型の「TotalStorage SANインテグレーション・サーバー」も発表した(2400万円から)。出荷はいずれも7月25日から。

(大和田 尚孝=日経コンピュータ)