「サポート体制には自信がある。製品についてすべてを知っている、開発者がメールや電話で直接対応するからだ。改善要求を製品に反映するスピードも速い」。ソフトの開発・販売を手がけるベンチャー企業イー・ポストの、川上勝行取締役は自社の強みをこう語る。

 同社は5月23日から独自開発したメール・サーバー・ソフト「SPA-PRO Mail Server 2003」の発売を開始した。動作OSはWindowsNT/2000/XP/2003。価格は1万2800円。成功した商業の国産メール・サーバー・ソフトは少ないが、川上取締役は「外国産ソフトでは、先に述べたサポート体制は実現できない」と意気軒昂だ。

 同ソフトの“売り”はサポート体制だけではない。価格も安い。1万2800円は、商用のWindows版メール・サーバー・ソフトとしては破格だ。もともとUNIX向けフリー・ソフトのメール・サーバーとして利用が広がった「Sendmail」でも、Windows版の価格は10万円以上する。さらに、ほとんどの製品はユーザー数に応じて価格が変動するので、ユーザー数が1000人を越す場合は数十万円がかかることもある。SPA-PRO Mail Server 2003はユーザー数が無制限で、サポート料金も徴収しない。

 機能面も、「安かろう、悪かろうではない」と川上取締役は強調する。512種類のドメインを管理することができ、理論値では1時間で10万通のメールを配信する能力があるという。SMTP、POP3、IMAP4という標準的なプロトコルも利用できる。独自のアンチウイルス機能を持ち、SSLを使った暗号化通信も可能だ。

 同ソフトは川上取締役が1999年からシェアウエアとして個人販売をしていた「SPA-PRO Mail Server v3.30」のパッケージ版。シェアウエア版では、すでに1600のユーザーを獲得したという。「個人販売では、企業向けに販売しづらかった」(川上取締役)ため、イー・ポストを興し、パッケージとして販売することにした。

(矢口 竜太郎=日経コンピュータ)