米IBMのサンドラ・A・カーターVP
 「米国では、CEOの93%が『ビジネスとITのゴールが一致していない』と感じている。企業が競争優位を確保するには、ゴールのすりあわせが不可欠」。運用管理ソフト「Tivoli」のマーケティングを担当する米IBMのサンドラ・A・カーター バイス・プレジデント(VP)はこう話す(写真)。「ビジネスが急激に変化する時代には、システムは変革に強い弾性的なものであるべき」と続ける。

 サンドラVPは、銀行システムを例にビジネスとITのミスマッチを説明する。「店舗システムやATM(現金自動預け払い機)は昼休みに負荷が集中する一方、トレーディング・システムは市場の開始直後と終了間際が、インターネット・バンキング・システムは、夜間が、それぞれ処理のピーク。もちろんビジネス上は、三つのサービスを顧客に対して継続的に提供しなければならない。三つのシステムがまったく独立しているとすると、個々にピークへの備えが必要となり、システム全体では無駄が生じる。つまりITの面で最適とはいえない」。

 これに対して、上記の三つのシステムを一括管理すれば、使っていないシステム資源をピークに直面しているシステムに振り分けたり、業務の優先度合いに応じて処理順序を最適化できる。「企業が定めたビジネスのポリシーに基づいてシステム全体を動かしていくことができれば、ビジネスとITのゴールを一致させることができる」(同)。

 サンドラVPは、こうしたポリシー・ベースの管理こそTivoliが目指しているものだと強調する。「ハードウエアやミドルウエア、ストレージ、ネットワークなどシステム全体について、可用性やセキュリティを保ちながらプロビジョニング(リソースの動的な割り当て)をすることで、システム全体を最適化できる」。サンドラVPは、「こうした機能の実現には、昨年5月に買収したカナダThink Dynamicsが持つ製品の技術が生きている」と説明する。

(大和田 尚孝=日経コンピュータ)