「当社独自LinuxのSun Linuxは供給を中止し、今後1年間でRed Hat Linuxに移していく」。サン・マイクロシステムズ日本法人のジェームズ・ホワイトモア取締役は5月26日の製品戦略説明会で、自社ブランドLinuxからの撤退を明らかにした。Sun Linuxは、昨年8月に同社が出荷を開始したPentiumIII搭載サーバー「LX50」にプリインストールしていたもの。LX50はWindowsサーバーの置き換えを狙う、同社にとって初めての“汎用の”Linuxサーバーだった。それまでは、アプライアンス・サーバー「Sun Cobalt」にしかLinuxを採用していなかった。

 独自Linuxの放棄は、米国本社と米レッドハットが5月19日に行った提携によるもの。北島弘エッジコンピューティング事業本部長は「汎用Linuxサーバーを販売するに当たって、Sun LinuxではISV(独立系ソフト・ベンダー)からオーソライズを受けづらかった」ともらす。

 もともとSun LinuxはRed Hat Linuxをベースに作られている。そのため、Red Hat Linuxで動作するアプリケーションはほとんどそのままでSun Linuxでも動いていたというが、名称が独自であることが紛らわしかったようだ。「Sun Linuxの研究・開発費用が負担になったわけではない(笑)」(北島本部長)。

 Linux上のアプリケーションを拡充するために、米サン・マイクロシステムズはすでに米オラクルと5月19日に世界規模で提携している。主な内容はサンのハードウエアですべてのオラクル製品を動作させるというものだ。もちろん、Linuxサーバーも含む。

 オラクル製のデータベース・ソフトや業務アプリケーションなどの大規模向けソフトをLinuxで動かすとなると、今度はSolarisとLinuxの住み分けが不明確になる。これについてプロダクト・マネジメント統括部の西田和弘Linux/Appliance製品担当専任部長は、「OSの“歴史”からお客様に選んでいただく」と説明する。「Solarisは実績から来る信頼性を重視する場合。Linuxはオープンソースの利点を享受したい場合に選んでいただく」(同)。Red Hat Linux搭載サーバーのユーザーに対しては、Linuxに関する一次窓口を用意することもあわせて発表した。

 サン・マイクロシステムズは同日、インテル製プロセサ(通称:x86)で動作するSolarisである「Solaris x86 Platform Edition」と、新型のx86搭載サーバー2種(Sun Fire V60xとSun Fire V65x)を発表した。新型サーバーには、x86版SolarisでもLinuxでも搭載可能だ。

(矢口 竜太郎=日経コンピュータ)